しみだと思っていたのに、実は脱色だった!?

こんにちは。讃岐屋クリーニングのしみ抜き師藤谷です。

 

しみ抜きを依頼されたものの中には、しみではなく、実は脱色だったということがよくあります。

実際に私も気が付かなくて、しみ抜き処理をして初めて気づくということがあります。

私でさえ、見た目で判断できないものもあるので、しみだと思われるのは仕方ありませんよね。

 

しみならば、大抵のものはしみ抜きでキレイにすることができますが、脱色は生地の色が壊れてしまっているので、しみ抜きでは元に戻りません。

 

実は最近、私の友人から預かった衣類が、この事例だったのです。

友人は、「(私)やったら何とかしてくれるやろ!」と持ってきたのですが、

私「これ、しみちゃうで!脱色してもうてるで!」

友人「なんとかしてくれるやろ」

私「まぁ何とかするけど(汗)」

と預かったのですが、脱色なのでしみ抜きでは当然元に戻りません。

 

では、脱色してしまっているものは、もうどうしようもないのかというと、そうでもありません。

実は色掛け、染色補正という技術がございます。

壊れてしまった生地の色を、染料等を使い補正するものです。

 

今回預かった衣類の脱色はこんな感じです。

実はこれ、塩素系漂白剤による脱色の可能性が高いのです。

塩素系漂白剤で脱色が起こった場合、置換反応という現象が起こります。

どういうことかというと、繊維には染料と手を結ぶことができる反応基というのもがあり、ここに結び付いている染料を塩素系漂白剤が壊し、代わりに塩素のclが結びついてしまうのです。

このclが結びついているので、染料で色掛けしても、染料が結びつかないのです。

簡単に言うと、染料では染まらないということです。

 

ではどうするかというと、方法は2つ考えられます。

1つは、脱塩素剤を使い、反応基に結び付いたclを外して染料で染める。

 

もう1つは顔料で染めるというものです。

 

染料と顔料とはどう違うの?という疑問があると思いますが、簡単に説明すると、染料は化学的に繊維と結合して繊維が染まるものです。

それに対し、顔料は色の粒子を接着剤(バインダー)によって繊維に固着させるものです。

 

顔料は接着剤(バインダー)によって繊維に固着させるので、今回のように反応基にclが結び付いた状態でも色掛けができるのです。

 

で、今回は顔料を使い色掛けすることにしました。

 

色掛けの途中経過です。

完成したものです。

ほぼほぼ分からなくはなりました。

実際にかけた色はこんな色です。

なんで紫なんだと、ちょっと意外に思いませんか?

実はこれ、黄色の補色なんです。

 

ちょっと簡単に説明すると、色の3原色ってご存知でしょうか?

赤・青・黄が基本の色となり、これプラス黒でどんな色でも作ることができます。

赤・青・黄と書きましたが正確にはシアン・マゼンタ・イエローです。

プリンターのインクや、イラストレーターやフォトショップのCMYKがこれに当たります。

では、下の色相環図を見てください。

黄色の反対の位置に紫があります。

これらを掛け合わせるとお互いの色を消しあい、グレーになるのです。

 

ですので、今回の脱色では、黄色味が強く出ていましたので、補色(反対色)で黄色味を消したのです。

 

このように、脱色してしまっていても、染色補正で何とかなる場合もございます。

ただし、しみ抜き料金とは別に染色補正料金が掛かってくるので、脱色等が起こらないようにこまめにお手入れすることをおすすめします。

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